
家につくらせるか。これは外国のショービジネスの言葉ではショーストップと言うんですね。そのショーの進行がストップするほどすばらしい、拍手で中断されてしまうのをショーストップと言う。また、拍手で中断されるような芸をやる人をショーストッパーと言うんですよ。レビューなんかだと、場面転換でカーテンがおりたときに、どんちょう前でやる人に大スターを使うというのが外国の慣習なんです。例えば、モーリス・シュバリエがリドのショーでそういうことをやりました。日本では、どんちょうの前で場つなぎをやるとき出てくるような人はコメディアン、せいぜいですね、主役がそこで、美空ひばりが場つなぎをやるとは思えませんけれども、そういう取り組み方も日本と外国では全く違う。
だから、オリジナルをお考えになる場合に、観客がどこで喜ぶのかということを、いかに作家なり演出家なりにうまくお願いをするというのか、そういう水面下の工作はプロデューサーの大きな仕事の1つなんです。
○前田
演目を決めて、それで意表を突くというようなことも含めて、より魅力的な配役をする。お芝居、ミュージカルそのものをよりよくすることと同時に、いいお客さんをたくさん呼べる配役をどうするかという話になったんですが、あわせて、今、鵜山仁という演出家の話が出ました。私も「アンネの日記」がミュージカルになっているのは知らなかった。「アンネの日記」のミュージカルが鵜山仁さんの演出でと知ったときに、あっ、これは見に行こうと僕は思ったんです。「アンネの日記」なんていう芝居を、ストレートプレイとして演出するにはもってこいの人ですし、その鵜山さんがミュージカルヘの野心というのか、決心を持って「アンネの日記」のミュージカル作品に取り組むというのは、これは期待できるな、見たいなと思いました。
僕もさっき、山下さんがあれは失敗したとおっしゃったんだけれども、まだ失敗じゃないですよ。
○山下
売り方の失敗だね。とらえ方の失敗です。
○前田
またもう1回やろうと思っているという話でしたね。
○山下
来年もまたやりますけれども。
○前田
「アンネの日記」とミュージカルというのが結びつかないままの人が多かったと思うんですよ。
○山下
それは、アメリカでもどうやらそのようですね。余り長い間やっていないんですね。トニー賞の候補になったとか、そういうふうなキャリアのない作品なんですけれども、作品としてはすばらしい作品だと私は思ったんですけれどもね。
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